【参加者レポート】2023年8月29日 政経勉強会(講師:ナザレンコ・アンドリー氏)

ナザレンコ・アンドリーさんの勉強会に参加された2名の方によるレポートをご紹介します。

参加者レポート①
大久保 佳代子 さん

※大久保 佳代子さんのレポートは、下記のリンクから読むことができます。

危機感を持つって本当に大事! by ナザレンコ・アンドリー氏 | 貿易戦略コンサルティングから交渉代行、貿易実務まで輸入事業の新規立ち上げを伴走支援

先日、私が所属する政経学修会では、在日ウクライナ人のナザレンコ・アンドリー氏をゲストスピーカーにお招きし、最新のウクライナ情勢について直接お話を聞く、講演会が…

参加者レポート②
山内 麻由 さん

政経学修会の政経勉強会にお誘いいただき、参加してきました。
講師はウクライナ出身のナザレンコアンドリーさん。ロシアのウクライナ侵攻が始まった頃からTwitterをフォローしていました。(同じウクライナ人のグレンコアンドリーさんと最初は混同していました😅)

1時間半ほどの講演は、最初から最後まで熱のこもった超早口でものすごい情報量、しかしとても分かりやすいお話でした。

日本で「右翼」と揶揄されることもあるというナザレンコさん。北方領土など歴史問題について日本の立場を海外に発信する活動もしてくださっています。今日は福島に移動して、海で泳いで海産物を食べている様子を報告されていました。

遠いウクライナ出身で、なぜ日本のためにそこまで?実際に講演を聞いて、それがよく理解できました。
「日本が強い国になることが、ウクライナを救うことになる」
という言葉が強く刺さりました。

以下は講演のメモ。箇条書きですが、興味を持った方はぜひ読んでください。

「日本よ、ウクライナの轍を踏むな!」

ナザレンコ・アンドリーさん
ウクライナ ハルキウ出身

ウクライナ戦争の現況
子供の拉致が多発している
22万人ほどが強制移住
拉致ではなく避難という自分の意思であっても帰ることはできない
親と離されてロシア人の家庭で育てられ、ロシアの教育を受けさせられていることも

占領地域ではウクライナの教科書、ウクライナ語教育が廃止され、ロシア語に
今のロシアの歴史教育→スターリンを偉大な指導者として教えている
1年でロシア兵は25万人が戦死した→代わりにウクライナの子供を連れてきて育てようとしている。親たちを殺して子供を奪い同化させる民族浄化が行われている。中国がチベット、ウイグルでやっていることと同じ

ウクライナは開戦当初から発電所、変電所が集中的に攻撃されたので常に停電状態
冬には氷点下10〜20度
爆風で窓ガラスが割れたので室内も氷点下に。凍死者がたくさん出ている。ウクライナ軍には停電の影響はないのでこれは完全に一般市民を殺すための作戦
ハルキウのナザレンコさんの母校もミサイル攻撃で破壊されてしまった。「軍事施設しか攻撃していない」というのは明らかな嘘
アメリカの依頼で、ウクライナはロシア本土への攻撃は許されていない。国境付近は一方的に攻撃されている状態。専守防衛=本土決戦しかない
日本でも報道されたマリウポリ包囲戦。ウクライナ軍が抵抗を続けた180日間がなければ他の街が守れなかった
開戦当初、「ウクライナが降参すれば戦争が終わる」とよく言われた。北方領土と同じで、一度奪われたら二度と取り戻せない
日本が2600年間、日本でいられたのは、日本人が国を守るために努力してきたから。先人たちの使命を受け継いで主権国家として国を守るべき。主権を失って幸せになった国はない
「降伏すれば助かる」はあり得ない。1945年、北方領土や満州では、白旗を掲げた日本人がソ連軍に虐殺された

「ホロドモール」…1930年代にウクライナで行われた人工的な飢饉。ソ連軍がウクライナを包囲し、穀物の最後の一粒まで奪って輸出してしまった。数百万人が餓死した後、ロシア人が移住してきてロシア人居住区域を作った
日本人が追い出された後の北方領土、クリミアタタン人が強制移住させられた後のクリミア半島にもロシア人が移住してきて住み着いた。本来の住民が少数民族にされてしまう。中国がチベットでやり、現在ウイグルでやっている

ウクライナが戦うのを諦めたらウクライナが終わる
ロシアが戦うのをやめたらその日に戦争が終わる

ウクライナが戦い続けているから、国際社会はウクライナを助けている。開戦直後は、ウクライナがすぐに降参すると見られてヨーロッパ諸国は支援を表明しなかった
プーチンの中にも、ウクライナがすぐに降参し、国際社会も助けないという思い込みがあったはず
「戦わないだろう」と思われた国は攻撃のターゲットになる
憲法を1文字も変えない日本は、押し付けられたものでも守る国家だと思われている。
日本人が日本を守るという意思を示すことが大きな抑止力になる

ウクライナ攻撃に先立って国境付近に集まった30万人のロシア軍は、東側(日本との国境地域)からきた。日本との国境付近は防衛力が必要ないと見られている。日本国憲法が世界のパワーバランスに影響を与えてしまっている事実

モルドバ侵攻、チェチェン戦争、ジョージア侵攻の頃、ウクライナは「自分たちは大丈夫」という意識をしていた。それらの国とは経済規模が違うからと甘く見ていた。「抵抗してこない」と思われた時に、国は侵攻される

ウクライナは、フランス、イギリス、アメリカ、ロシアが安全保障することと引き換えに核兵器を手放した。いざウクライナが侵攻された時に、英米仏は「世界大戦になるから」という言い分で動かなかった
日本が尖閣諸島を取られてもアメリカは同じ理由で動かない可能性が高い

「ウクライナがNATOに加盟しようとしたからロシアが侵攻した」、という説
日米同盟の強化などを盾にしてロシアと中国が先制攻撃を仕掛けてくる可能性がある。敵は常に理由を探している。言いがかりをつけ、理由がなければ作ってでも言いがかりをつけてくる
クリミア半島を併合したロシアの言い分は、「クリミア半島はもともとロシアのもの」。
中国は沖縄に対して、ロシアと同じ論法でプロパガンダを仕掛けている
ロシアの国会議員は「アイヌはロシアの先住民族」と宣言した。北海道はアイヌのもの→北海道はロシアのもの、という論理で狙ってきている

日本の国防はウクライナよりも弱い
日本は長年隣国と領土問題を抱えている。ウクライナはクリミア紛争以前には何もなかった
ウクライナで鳴っている空襲警報と日本で鳴っているJアラートは同じ
ウクライナは、核戦争を想定して人口の47%を収容できるシェルターを用意していた。日本はシェルターがない、もしくはあっても誰も場所を知らない
日本の周りは核を保有する敵国だらけ。ウクライナにはロシアしか敵国はなかった
日本は島国だから安全という考えがあるが、ウクライナはロシアと陸続きである代わりに、他国からの支援を受けやすい。鉄道や時には徒歩で援助物資が運ばれる
日本は島国なので支援を受けにくい地形

ウクライナの兵力は全体で100万人。予備役が大勢いる。学校教育でも、化学兵器を使われた時の対処法など「殺されないための教育」が行われている
日本は自衛隊25万人、予備役が5〜6万人と非常に少ない。学校での軍事訓練は不可能。ナザレンコさんは「日本もシェルターを作るべき」と発言しただけで戦争を煽っていると言われた

ウクライナ戦争を見て、世界が変わり始めている。ドイツは防衛費を倍増。スイスはロシアに対する経済制裁に踏み切ったという
日本でも多くの国民は防衛費増額に理解を示した。味方に対する武器の提供も。ただ、日本の場合には元々の防衛力がマイナスだった。シェルターを作るなど防衛力を上げていかないと日本は守れない
日本のマスコミが「戦争はダメ」という宣伝をするのも大問題。テレビの字幕操作は多い。ウクライナ人が「勝利を望みます」「ウクライナに栄光あれ」と言っているのに字幕では「平和を望みます」などとされる

ウクライナ戦争は、「一方的な武力行使が成功するかどうか」を世界に見せている
ウクライナでロシアが勝ったら次は台湾、沖縄に来る

「沖縄の人は本土から差別されている」などの中国のプロパガンダを徹底的に否定しなければならない。日本人は「そんなことはない、沖縄に来れば分かる」とスルーするが、何度もプロパガンダされると世界的にはそれが事実だと誤解されてしまう

日本が強い国になることはウクライナを、チベットやウイグルを救うことになる

【質疑応答】
・ゼレンスキー大統領はなぜユダヤ人なのに大統領になれたのか
→ユダヤ人ではあるがユダヤ教ではない。ウクライナのキリスト教は熱心ではないので、宗教的な違いは問題にならなかった。ウクライナでもユダヤ人に対して多少の偏見はあるが、経済改革を期待されて当選した

・日本の教育について
→日本語を話して日本文化の中で日本で暮らすことができることは当たり前ではないということ、自分は社会と国家の構成員である、ということを認識できる教育を

・プーチン後のロシアはどうなる?
ウクライナ戦争で負けない限り、プーチンが死んでもロシアは変わらない。ロシアの思想の根本には「大ロシア主義」があるので、リーダーが変わっても同じ。メドベージェフも核戦争を煽っている
プリゴジンは開戦の目的を否定したが、戦争の継続には反対していなかった

(参加者レポート 山内麻由さん)

【開催レポート】2023年8月29日 政経勉強会(講師:ナザレンコ・アンドリー氏)

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